アカデミー作品賞受賞(仮)作品『スリー・ビルボード』について

タイトルにスリー・ビルボードと銘打ってるけど、2018年に入って2ヶ月経ったので、普通にこれまでに見た映画の感想の総括。年末にランキングをつくろうにも、まとまった記録をつけていないと記憶がアヤフヤすぎてどうにもならなかったので、今年はある程度こまめに記録していきたいと思います。あと、去年ぼちぼちブログを書いていて気がついたんですが、タイトルに映画の名前を入れるとやたら閲覧数が増えます。

 

全体的なことを言うと、この2ヶ月の間で観賞した映画の総数は28本、劇場で観賞した数は8本になります。1月はめっちゃくちゃ忙しかったので、ほとんど2月に入ってから。2月だけだと一月で22本見ていることになるので、なかなかいいペースだと思います。劇場で観賞した映画は、キングスマン:ゴールデン・サークル、新感染、ソウル・ステーション パンデミックデトロイトスリー・ビルボード、バーフバリ 王の凱旋、勝手にふるえてろ、サニー/32、の順で、そこらへんの感想を適当に書き散らしていく。

 

キングスマン:ゴールデン・サークル

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まあ悪くはないんだけど、という感じ。実際2時間半近くある上映時間でもそんなに退屈しなかったし。ただ、前作がぶっとびつつもよくできていたというか、まとまっていたというか、ひとつの作品として完成度が高かったことを考えると、今作は凡百のアクション映画でしかなかったという印象。

決定的に前作と比較して劣っている点といえば、敵に魅力がなさすぎること。前作では衝撃的なシーンで登場して一目で分かるカリスマ性のあったソフィア・ブテラ演じるガゼルですが、今作の敵はチャーリー。前作で死んだと思われた鼻持ちならない気取った金持ちの落第生。見た目に華があるわけでもなく、武器といえばガチャガチャしたロボットアーム、特にひねりもなく悪堕ちしてましたってなことで、最初のシーンだけ噛ませ犬的に使うのかと思えば最後までコイツが出張ってくる。でも噛ませ犬にしか見えないし、だってキングスマンの試験にあんな醜態晒して落ちた奴、どんだけ強かろうが緊張感ゼロでしょ。他にもステイツマンが活躍しないとか、チャニング・テイタム退場早すぎとか、頭撃たれてもそれで復活とか流石にどうよとか、ポピーもヴァレンタインに比べたら色々扱いが雑すぎるとか、ロキシーあっけなく死にすぎとか、マーリンの死に様もやっつけ感がとか、そもそもキングスマンってハリーとマーリンとエグジー以外無能しかいないのかとか、言ったらキリがないけど、この続編を見せられてもユニバース化しますと言われて手放しに喜べませんわな。日本を舞台にしてニンジャマンとか言い出すくらい突き抜けてくれたら、もうそういうもんだと受け入れられるかもしれない。

 

『新感染』&『ソウル・ステーション』

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年明けてすぐに早稲田松竹で同時上映されていたのを見ました。去年のうちに見ておきたかったですねほんと。今年のランキングに入れることはないと思うけど、去年見ていたら多分入ってた。アトミック・ブロンドと入れ替え。哭声と比べてどっちが好きかというと難しいんですね。良くも悪くも新感染は韓国映画臭がしないっていうか、文句なしに世界レベルで、その点哭声は間違えて田舎の変な村に迷い込んだようなおどろおどろしさとか、ガシャガシャ鉄の器で食事するシーンとかモロに韓国映画~!って感じで、そこがやっぱりいいんですよね。

新感染のどこが優れているかといえば、そのメッセージ性というか、表現しようとしていることにあると思います。もちろんジャンル映画的な、それを作ること自体へのこだわりだとか、単にやりたいことをやりましたという映画がダメだというわけではありませんが、やはり現実に還元できるものがあってこそ名作たり得るとも思うわけです。逆に、日本映画界に跋扈している漫画原作のくっだらない実写化作品みたいな、そこそこ売れてる原作に流行のアイドルをあてがってデートムービーでございと手堅くペイさせてもらいますみたいな映画ほどくだらんものはないんですよね。対してマーベル作品が中々すごいのは、あれだけのビッグバジェットなのに、若手のぎらぎらした監督に任せてるところでしょうかね、そこらへんのバランス感覚がMCU帝国を成立させてるんだと思う。

話が反れましたが、新感染の表現しようとしているもの、それは「大人になること」あるいは「男になること」でしょうか。昨年、見ていなかったのであまり情報は入れていなかった自分でも、なんとなくそこらへんは漏れ聞こえてきていたので、今更それを自分が語るまでもないと思いますが、実際に見てみるとなかなかどうしてうまく描かれていたので感動しました。イケメン野球部員のヨングクはジニの好意に気がついていながら、スカした態度でそれをかわし続ける素直になれない童貞だったわけですが、ジニがゾンビになったことではじめて、相手を抱き寄せ、受け入れることができます。ここら辺の、ゾンビとなったジニに食べられる描写というのはセ○クスのメタファーなんじゃないかな。童貞だからわからんけど。マ・ドンソク演じるサンファは、妻が妊娠していながら、その子供に名前をつけられないでいますが、逆に彼は自らの死を前にすることで、親になる覚悟ができたというように見ることができます。そして主人公のコン・ユ演じるソグは仕事人間で家族のことを顧みておらず、おそらくそれが理由で離婚しているんだろうけど、まあとにかく一家を支える父親として全くダメ。それは結局自分の都合を優先して家族に犠牲を強いていたってことなわけですが、ソグは最終的に自己犠牲で、身をもって娘を守ることで真の意味での父親になれる。ここの演出がとにかく皮肉が利いていて、この映画のヒール役である自分本位なバス会社の社長はゾンビ化する前に幼児退行したのと、ソグはゾンビ化する前に娘が生まれた直後の記憶が脳裏をかすめて父親としての自覚を新たにするのとで、とても対照的です。そんなこんなで通低してるテーマやその描き方もよくできてるんですが、普通にアクション映画としても一流。電車とゾンビという組み合わせの中で、電車独特のギミックをふんだんに使っているし、ほとんど密室が舞台でありながらスケール感も充分に表せている。文句なしに傑作でした。

とはいえソウル・ステーションは完全な駄作。全編通して、結局何がしたかったのか全く伝わらない。途中で軍が市民に向かって発砲するところとか、流石に飛躍しすぎてるし説得力もないしで。どういう経緯で製作が決まったのか分からないけど、本当に同じ監督が作ったのか疑問が浮かぶレベル。ヒロインがずっと「家に帰りたい」って行ってたからモデルハウスで死ぬっつってもそんなに皮肉がきいてるわけでもなかったし、というかヒロインのキャラクターが掘り下げられないしエモーションも湧きにくい。せめて、あのヒロインが金持ちと結婚したがってるビッチみたいなキャラクターとして描かれていたなら、モデルハウスの豪華な内装の部屋で死ぬシーンの皮肉にはなってたかもしれない。あるいは、ヒロインのバックボーンとして「幼少期は普通の女の子で平凡な家庭で幸せに育っていた」みたいなものがあれば、モデルハウスの普通の家っぽい部屋で殺されていればエモーションの度合いも変わってきただろうにと思う。

 

スリー・ビルボード

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このブログを書き始めたのが2月26日。スリー・ビルボードがアカデミー作品賞を受賞するだろうと思ってこんなタイトルにしたんですが、ダラダラダラダラ書いたり書かなかったりをしていたところ、結局3本ぶんだけ、スリー・ビルボードにたどり着かずに、しかも結局作品賞を獲ったのはシェイプ・オブ・ウォーターという始末。悔しいのでタイトルは変えないけど。

まあスリー・ビルボードがどれだけよくできていたとか、演技がよかったとか、こういうメッセージがとか、そんなことはどうでもよくて、なんでこんなにスリー・ビルボードが俺は好きなのかというのが言いたくて、今回ブログを更新したんですよね。

それはなにかといいますと、「両親離婚したからなんとなくそういうもんだろと思って母親についてきたけど普通に父親のほうがよかったよ!!!」ってこの感じ!なんですよ!!!

この映画の中では離婚に至った背景とかそういうところは描かれてないし、まず大前提としてミルドレッドが悪い人かというとそうじゃない。なのでここからは妄想半分なんですけど、とはいえかなり個人的に思うところが大きかった。まあ自分語りみたいになっちゃうから適当に読み流してください。

日本に限らずですが、これだけ離婚率も上がって、もはやそれ自体は大したことではないように思うんですが、つまるところ、それって離婚の理由自体も大したことがなくなっているってことだと思うんですよね。当人らがどう思ってるのかは知らないけど、子供の側からすりゃあ、大したことない理由で離婚スンナつーかそれくらいで別れちまうんだったら結婚スンナ、ですよ。少なくともウチはそうで、聞いた範囲では特段DVだとか浮気だとか決定的な原因があったわけではない。でも、とりわけ日本においては離婚した場合子供は母親が引き取るみたいな社会の風潮があるし、実際男なんてみんなダメなところのひとつやふたつあるわけで、まあしょうがないよねみたいなのがスタンダードだと思う。そんで母方の家族と暮らしている中では、とにかく父親とか父方の家族が悪く言われるし、それを素直に聞いてる子供としては父親に原因があったから離婚したんだと刷り込まれる。ただ父方の正月の集まりとかに行ってみると、(いやこれ、こっちの家族のほうが普通に首都圏郊外に住む一般的な中産階級って感じじゃん)って気がつき始める。そこらへんのモヤモヤした思いっていうのが、スリー・ビルボードだと明確に描かれていて、「やっぱそうだよね!?よね!?」ってなってしまった。ミルドレッドはずっと父親やそのガールフレンドの悪口を言っていて、確かに父親はいい年してあんな若い女と付き合ってるし、看板燃やしちゃうし、ダメ人間なところもあって、ガールフレンドもなんか頭悪そうなティーンエイジャーだし、概ねそのとおりではあるんだと思う。でも子供から言わせりゃ親の都合で結婚して子供生んで離婚して訳もわからないまま母親に引き取られて貧乏ったらしい生活させられて物質的にも精神的にもつまらない暮らしをさせられて、ダメなところもあるかもしれないけど父親と暮らしたほうが多分これ精神衛生上よかったよ!って思うのはもう本当によく分かる。シングルマザーだから気負って厳しくしてるのか知らないけど、それアンタの都合だし!スリー・ビルボードの娘に関してはそれが直接の原因になって死んじゃったわけだから救えないでしょ!だもんで父親のガールフレンドのキャラクターがひっくりかえされていくところとか、すごく感心したし、しっくりきました。「お前そうやって相手のことをバカだって見下してるけど、お前も別に賢くねーから!!」

とにかく完全に私怨みたいなもんだし、もう一度言っておくとミルドレッドは悪い人じゃないんだけど、でも、この感覚を、この作品と共有できたということが自分の中で何よりも救いになりました。当然母方の家族は父親を一方的に悪く言うだけだし、可愛がられてる兄はそれを素直に受け入れて、ただつまはじきにされた自分だけが(少なくともこれって客観的じゃないだろ!?)と常々思っていたのが、これは自分だけのものじゃないということが確認できたということで、アカデミー作品賞は獲れなかったけど、自分にとっては特別な一本です。

 

ひとつ、どうでもいいことなんですが、ミルドレッドが歯医者でドリルを指にアカンことするシーンがあるんですが、あれってアウトレイジのオマージュだと思うんですよね。マクドーマンド監督の前作『セブン・サイコパス』で『その男、凶暴につき』を見るシーンがあるので、やっぱりタケシ映画オマージュでしょ。

 

追記:3月6日現在見た最新公開映画ランキング

 

  スリー・ビルボード 

A+ ブラックパンサー 

  デトロイト シェイプ・オブ・ウォーター

A- バーフバリ:王の帰還 

  勝手にふるえてろ

  15時17分、パリ行き

  キングスマン:ゴールデン・サークル サニー/32

 

2017年公開映画総括

〈とりあえずランキング〉

 メッセージ IT 

 ナイスガイズ ラ・ラ・ランド ハクソー・リッジ アウトレイジ最終章 ゲット・アウト 全員死刑

 沈黙 ドクター・ストレンジ ドント・ブリーズ ムーンライト T2 哭声 ベイビー・ドライバー ハイドリヒを撃て ダンケルク ドリーム ブレードランナー2049 パーティで女の子に話しかけるには オクジャ ブライト

 ザ・コンサルタント 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う キングコング  アシュラ  はじまりへの旅  ライオン 夜は短し歩けよ乙女  スプリット ジョンウィック2 スパイダーマン KUBO アトミックブロンド ノクターナル・アニマルズ SING

 無垢の祈り ハードコア ゴースト・イン・ザ・シェル ウォー・マシン ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス  ワンダーウーマン SW/最後のジェダイ

 インビテーション

 

今年ももう終わりが近づいているので2017年に公開された映画のランキングや感想をツラツラ書き散らかしていきたいと思います。

上を見ていただければ分かると思いますが、今年は新作映画は45本見ました。とは言っても全て劇場で見たわけではなく、例えばオクジャとウォー・マシンとブライトはNetflixオリジナル作品ですのでNetflixで、インビテーションとSINGはオリジナル作品というわけではありませんが1年経たずしてそれぞれNetflixとAmazonPrimeに追加されていたので年内に見ることができました。なので映画館で見た映画、となると40本になりますね。

今年は結構意識的に、去年よりも多く映画を見ようと意識はしていたんですが、思ったほど伸びませんでした。去年は全体160(新作37)、今年は全体182(新作45)。できれば200本、最低でも2日に1本というのが目標だったので、ギリギリ後者を達成できたかなという感じです。1年を通してのモチベーションは高かったように記憶しているものの、やはり今年はゼミやらバイトやら、去年と比べて時間をとられることが増えたので…、まあ、それにしては頑張っているような気もするんですが。(むしろやりたくないことが増えたから反動で映画欲も増していたのかもしれない)

 

今年の映画を総括すると、どれも中々楽しめたような気がします。D以下の映画が8本、Eに関しては1本というところで察していただけるかと思います。

といいますのは、2017年も終わるので言えることなんですが、去年(=2016年)の映画はどれもそんなに楽しめなかったというのがあるんですよね。ブリッジ・オブ・スパイとかハドソン川とか、あるいはレヴェナントやオデッセイなんかの、よくできた映画というか、優等生映画というか(最後のは少し違う気はするけど)、ちゃんとした映画だし多分それなりに面白いんだとは思うんですが、何故かノレず、かといって「ちゃんとしてる」だけに、どこが微妙だのを言語化できず、ネットを探しても、論理的に面白くないよねという話をしている人はいなかったので、おそらくは自分のモチベーションの問題なんでしょうと思います。それ以外でも、叩くために観に行った君の名は。は除くにしても、タートルズやスーサイド・スクワットは免許合宿の苦痛を和らげるモルヒネにはなり得なかったのでマイナスイメージがこびりついています。

今年はDの映画にしても見て後悔した、というのはゴースト・イン・ザ・シェルくらいのモンですし、去年はそれが10本近くあったことを考えると、中々だと思いますよ(?)

とまあ今年の映画をどう見たかと雑な話をしたところですが、個々の感想は後に回すとして、景気よくTOP10を発表することにします。

 

〈TOP10〉

第10位 「LA LA LAND」

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ラ・ラ・ランドです。カタカナだとダサいので原題で書きました。

この映画そのものに深い感動をもらったとか、何か内在化できるようなモノを得たということはないのですが、ぶっちゃけかなりワクワクしたので入れました。予告編を見ただけでも、色とりどりの世界や輝いて見えるロサンゼルス・ハリウッドの町並みに目を奪われますし、サントラもちょくちょく聴くくらいにはハマっています。

故に多くを語れるようなこともないんですが、映画っていいなあという原体験的な意味でこういう映画もいいんじゃないでしょうか。

 

第9位 「アトミック・ブロンド

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バイオレンス・アクション映画枠です。今年見たこの手のアクション映画となると、ハードコア/ジョン・ウィック2/アシュラ/ザ・コンサルタントあたりになるのかと思いますが、全体的なビジュアルのイメージやバイオレンスシーンのフレッシュさ、新しい世界観の提供というところでアトミック・ブロンドに軍配が上がりました。

まず、始まっていきなり顔面ボコボコのシャーリーズ・セロンが映ったところで、「この映画は”リアル”なバイオレンスを見せてくれるのではないか」と大いに期待させてくれますし、実際に身の回りにあるものを使ったなんでもありのバイオレンスシーンが展開されます。僕はよく家にいるとき、強盗が入ってきたら何か使える家具はないかと考えているので「これなんだよな~」と、ついうなずいてしまいました。もちろん敵だって女だろうと構わずに顔面をぶん殴るわけですが、それでセロン姉さんも物語が進むにつれ生傷だらけになって顔も腫れ上がっていくので中々痛そうで辛くもありつつ「こういう”強い女”が見たかったんだよ!」となるわけですよ。

89年のベルリンを舞台にしたスパイ映画という混沌とした設定で、もう登場人物は誰も彼も怪しくて胡散臭くてかなわない。加えて脚本も複雑で、最後のたたみ掛けるような謎の明かし方は頭がこんがらがってしまいます。(個人的にはミスリードは上手かったと思います)ただ、傷つきながらもパワフルに突き進んでいくセロン姉さんにくっ付いていけばなんとかなる、そしてそういう新しいヒロインが出てきたことに意味があるようにも思いますね。

同じ女性が戦う映画というところではゴースト・イン・ザ・シェルがありましたが、まあアカンという感じでした。内容やビジュアルともにGHOST IN THE SHELL(つまり押井版)とブレード・ランナーをごった煮したような、二つの意味で「未来観」を全く更新していない、それで今さら映画化する必要あったのかというツッコミはさることながら、少佐のキャラクターも微妙。ホワイトウォッシュがどうとかいうのはこの際置いておきますが、問題は性格の描き方ですよ。原作なんかは特にそうですが、少佐は結構冗談も言うようなユーモアの溢れたキャラクターです。しかし今作ではなんともWhy so seriousな顔をしくさってるわりに、あのブヨっとした身体と肉襦袢の滑稽さが相反していて締まりがない。アクションにもキレがない。たけしの声も聞き取れない。これじゃあAKIRAのハリウッド映画化もどうなることやら…。

 

第8位 「哭声」

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韓国映画枠です。今年に見た新作の韓国映画はアシュラとオクジャを併せた3本だけですが、旧作を含めたら全部で12本見ていました。韓国映画、見なきゃいけないなあと思いながらも、過去の映画を掘っていく上ではやっぱりアメリカ映画(洋画)の優先度が高いだろうと半ば放置していたんですよ。しかし回りに韓国朝鮮に造詣が深い方々がいるので、もうウダウダ言ってられないなということで結構韓国映画を見たのがやはりどれも面白かったので総合して韓国映画代表=哭声ということにさせていただきました。特に今年は、哭声/アシュラ/お嬢さんとヤバメな映画が三本同時に公開が始まったのがモチベーションにも影響を与えました。お嬢さんだけ見られていないのでそれが心残りですが。

アシュラは良くも悪くもアクション映画として突出していて、韓国映画の持つ独特のバイブスみたいなものは比較的薄かったと思います。その点哭声はイヤ~な空気感といいどんどん話が変な方向に転がっていく感じといい、今年韓国映画を見てビビっときたところが集約されていました。後は雑に美味そうに飯を食うシーン。特に哭声は見終わっても結局何がどうなっていたのか置いてけぼりにされるような迫力に満ちていたのがよかったですね。中盤の祈祷バトルはその最高潮だったですよ。光の霊媒師と闇の霊媒師がお互い汗だくになりながら祝詞を唱えて動物の首を切ったりしてるだけで、とにかくコイツらはバトってるんだという説得力があるので、ともすれば滑稽に映りかねないところを成立させるその力量に感服しました。

ちなみに今年見た韓国映画で一番好きなのは哀しき獣でした。

 

第7位 「ブレードランナー2049」

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ブレードランナーの続編です。これは見終わってしばらくの間は、まとまりがよすぎるといいますか、「まあ、普通に続編としてよくできてるけどね」くらいなスタンスでいたんですが、某スター・ウォーズ/最後のジェダイを見てダークサイドに叩き落されたことで「よくできてますね…(シミジミ」に変わってしまいました。

最後のジェダイが「新しいことに挑戦している」と絶賛される一方ではビジュアル的には過去シリーズをトレスしているのとは対照的に、ブレランでは過去作のイメージはそのままに、世界観といいますか、その世界の広がりを描こうと頑張っていたように思います。ロサンゼルスが都市として過剰に膨れ上がっている傍ら、そこに電力を供給したり、そこから出たゴミを処理したりする場所もあるわけです。また、そんな世界では環境が破壊され異常気象が進行している。現在と比すればさらなる繁栄があったであろうラスベガス、しかしそれも”2049”年からすれば過去の栄光に過ぎない。単純なディストピアにとどまらず、現在の世界と、そしてブレードランナー(82年)の作品世界と地続きの未来像の提示、そしてそこに必然性があるというスマートさだけでも素晴らしいと言えましょう。

また、最後のジェダイと共通したテーマにアイデンティティの問題がある。つまり、「自分は何者なのか」「自分は何をすべきなのか」「自分はトクベツな存在なのではないか」という自意識の問題です。結論としては、どちらもひとつ同じ結末を迎えるわけですが、やはりそこには差があるような気がします。スターウォーズにおいては、基本的にフォースの覚醒で伏線は投げっぱなしにされてしまったわけですが、特にレイの出自というのは最後のジェダイのストーリー内でもクリフハンガー的に引っ張られていました。しかしそのオチは「血筋の物語になってしまったスターウォーズに革命を起こしてるんだ!」で全肯定するにはお粗末すぎました。(何者でもなく凡人だった、ということ自体を否定するつもりはありませんよ)というのも、ブレランにおいてはそれ自体が重要な作品テーマになっていた上に、いくつも伏線を張り、丁寧に結末へと積み上げていっていました。それに、トクベツな存在ではないとしても、「何者であるかということよりも、何をするかが重要である」という普遍的なメッセージに昇華していく過程は、Kの哀れなキャラクターと相まって感動的だったからです。しかし、2作に渡ってポンと雑に謎を提示したくせに、意外性を出したいという意図だけが先行し、「フォースの力で分かると思うけど君の両親は凡人だよw」(そもそもフォースでそんなことまでできるのかよ)と唐突に言われても冷めるだけです。加えていえば、レイは凡人というけれども天才的なフォース・センシティブなわけですし、単調な日常を過ごすサラリーマン(同族殺し)のように描かれていたKと比べると、スカベンジャーとして人里離れた暮らしをする様子もどこか現代人として気楽に見えます。そもそもタトゥイーンで農業を営むルークのイメージをそのままトレスしただけというところに苦しい感じはありますが、JJの意図を離れてライアン・ジョンソンのカマシが交じり合った結果、なんとも不協和音なオチにしかならなかったのかなという感想です。

途中から最後のジェダイの悪口になってしまったのでここら辺で切り上げますが、ブレードランナー2049はSFやサイバーパンク、あるいはディストピアを描いた映像作品としての更新にもうまくいっていますし、前作ではあまり描かれなかったキャラクターの掘り下げ、本作品自体のテーマへの決着のつけ方と、どれも素晴らしいことに疑いはありません。

 

第6位 「ハクソー・リッジ

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戦争映画枠&アンドリュー・ガーフィールド宗教映画=沈黙との抱き合わせ枠です。

 まず映画の脚本としてお手本のようによくできていましたね。三幕構成の模範解答といってもいいのではないしょうか。はじめに主人公はどういう人間なのか、どういうバックボーンがありどうやって生きてきたのか、そしてどういう時代背景で物語が進んでいくのかというのを説明。つぎにフルメタル・ジャケットを思い出すような理不尽な教官のシゴキと軍隊特有のイジメで主人公はどん底に落とされ試練を課される。それは単に肉体的な苦痛にとどまらず、ドスの信仰そのものを試す、まさしく沈黙と同じようなテーマに片足を突っ込むわけですが、最後には法廷劇という展開の捻りで飽きさせない上に父親との和解という中くらいのカタルシスで物語は上昇を始める。ラストに舞台は沖縄戦へと移り、そこでは中盤に押さえつけられていた主人公の精神や、それを見ていた我々観客の期待を爆発させたような大迫力かつ大残虐な戦闘シーンがこれでもかと炸裂します。実際に大量の火薬を使った爆発の迫力や、プライベート・ライアンに勝るとも劣らない人体破壊描写の凄まじさはさることながら、現代的な演出やカットがそこに新しい興奮を盛り込んでいてとても新鮮でした。主人公は戦わないのに(戦わないからこそ?)これまでの戦争映画にないフレッシュさがあったこともよかったです。

 

第5位 「アウトレイジ/最終章」

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全員死刑とのコメディバイオレンスヤクザ映画抱き合わせ枠です。

いや~面白いですね。笑いあり、暴力あり。やっぱりただ暴力をてんこ盛りにしても締まらないというか、ある種笑いを入れて空気を弛緩させることで、そのギャップがより暴力の恐ろしさを際立てる(コメディシーンの面白さもしかり)というのがありますよね。大杉漣のキャラクターはやりすぎ感がなくもなかったですが、コメディリリーフとしては悪くなかったです。ちなみに自分が一番好きなのは張会長に塩見三省ピエール瀧が詫びを入れに行くシーンです。(「何でチンピラ一人死んだくらいで500万も払わなあかんねん。どさんぴんやないかいっ!」「おいゴラァ…!」→「なんやアイツ日本語喋れたんかいな…」の流れが張会長の怖さとコメディの面白さが合わさって最高のシーンでした)

塩見三省さんが前作に比べて弱弱しかったのは残念でしたが、西田敏行は逆により風格が出ていたように思いますね。張会長率いる韓国ヤクザグループはシンプルにみんな格好良くてしびれました。大友のけじめのつけ方は、やはり音楽や画面の雰囲気がソナチネに回帰していることもあり、予想されるものではありましたが、それまで血の描写が抑えられていたことやキタノブルーとのコントラストと相まってかなりショッキングでした。

アウトレイジ北野武フィルモグラフィー的に見て抽象的で芸術的な路線に回帰しているところもあった一方で、全員死刑はいい意味で卑近で俗悪でした。最初のシーンで仁義なき戦いのテーマが流れたところからテンションはMAXになってしまったんですが、そこから常に下がることなく笑いと暴力の波状攻撃を食らい続け一秒も退屈しませんでしたね。どちらも最高です。

 

第4位 「ゲット・アウト」

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黒人映画枠ですね。ムーンライト、ドリーム、ブライト。今年はサークルの関係で黒人の権利運動やら差別問題なんかを調べていたのでどれも身近に感じられて面白かったです。他の3作は割りとシンプルにそういった問題意識やマイノリティについて描こうとしていたのに対し、ゲット・アウトはホラーという作品の都合上ツイストをかけることが求められるので、かなり人種差別というテーマに対しても重層的というか、伏線の回収なんかも凝っていてすっかり騙されました。

黒人差別を取り扱った映画ということで、こっちもすっかり脳のスイッチをそっちに切り替えて「さあどう調理するんだ」と臨んで見に行ったわけですが、そんな単純なものではなかった。むしろそういった意識を逆手にとって、ステレオタイプな黒人像(運動神経抜群、歌やダンスがうまい、セックスが野生的)という別の差別の形を浮かび上がらせるやり方は実にスマートで膝を打つこと必見。ホラー部分の話にしても、単に人種差別の怖さというよりかは、見知らぬ土地に迷い込んだときの恐怖や、恋人(いたことないけど)や友達の家に遊びにいったときに感じる素朴な居心地の悪さという誰でも経験したことあるような感覚が通低音としてあるので、お化け屋敷的な「ワッ!」とやるホラーとも明らかに質が違って全編に渡り常に気味が悪いのもいいねポイントです。

 

第3位 「メッセージ」

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今年もっとも作品単体の完成度や名作度みたいなものが高かった作品を聞かれたらこれになると思います。上半期の映画の感想にも書きましたが、まずSF映画としての”リアリティ”がすごいですね。もちろんビジュアル的なところや作品内リアリティに関してもそうですが、サピア=ウォーフの仮説を利用した大掛かりな伏線は、脚本としての面白さもさることながら、この映画の幻想的で美しい映像という一見SFとは相反する要素とも見事にマッチしていて素晴らしかったです。

SF映画として科学(あるいは言語学)の考証がどうだとか分からないなりにも楽しめるポイントはあるわけですが、そういった形而下的なアプローチの連続の果てにたどり着く結末というのがとても形而上的といいますか、理屈を超えた先にある現在の肯定というというのはとても感動しました。

 

第2位 「IT」

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スティーブン・キング原作のホラー映画です。というよりストレンジャー・シングスです。ストレンジャー・シングスはNETFLIXのオリジナルドラマです。最高です。

はい。もちろんITそのものも最高でした。これもまた単純に「ワッ!」というお化け屋敷ホラーでなく、子供たちのトラウマに根ざした恐怖が描かれているところにストーリーの核心があります。つまり、この映画はまさにイニシエーションを描いており、子供たちは子供であるが故のトラウマ(ピエロなんて大人でも怖いけど)を自分たちで協力して打ち勝っていくというジュブナイル作品なのです。それ故に作品を通してさわやかな風が吹いており、ジメジメしたポスターとは対照的に、観賞後の爽快感も今年で一番でした。

ストレンジャー・シングスと併せて見るともれなく「自分を80年代アメリカで生活している少年だと思い込んでいる精神異常者」になれます。おすすめです。

 

第1位 「ナイスガイズ!」

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昨年も一位にした気がしますが、知りません。

探偵モノで、伏線やストーリーもしっかりしていて、ギャグも楽しくて、ヒロインがめちゃくちゃ可愛い。それで十分じゃないでしょうか。とまあ昨年と同じような感想しか出てこないんですが、改めて、今年も見てみて感じたことというのがみっつほどあります。

ひとつはこの作品のテーマの肝である自動車産業についてです。あまりネタバレしても仕方がないので最小限にとどめますが、最後の最後のシーンで、アメリカの自動車産業は日本車に取って代わられるということをにおわして終わる本作ですが、そこからあまり時間も経たずにラ・ラ・ランドを見たところ、「みんながプリウスに乗ってパーティに来ているので自分のプリウスをどこに停めたか分からない」というシークエンスがあり、ロサンゼルスを舞台にしたライアン・ゴズリング主演の両作品のシンクロニシティにビックリしました。昨年にしたまちコメディ映画祭(映画秘宝祭り)でナイスガイズ!を見たときは額面どおりにしか受け止められなかったんですが、こう立て続けに見せられるとその深刻さ?というかインパクトというのが分かるような気がします。

ふたつめはライアン・ゴズリングの演技。やはり昨年見たときははっちゃけてるなあとしか思わなかったんですが、TOP10に入っているライアン・ゴズリング主演の二作品=ブレードランナー2049、ラ・ラ・ランドでは、ナイーブでセンシティブでオタク感が漂う彼(ドライブ以降そういう役が多いんですかね?)を続けて見せられると、ナイスガイズの楽しそうな演技が本当に楽しそうで見てるこっちまで楽しくなってくるんですよね。ぜひメイキングも見たいのでDVDの購入を考えております。

そして最後にみっつめは、スパイダーマン:ホームカミングを見て感じたことなんですが、アンガーリー・ライスちゃんがやっぱり可愛いということです。本作でも生意気可愛い美少女を演じたライスちゃんですが、スパイダーマンのほうでも「付き合うならソー、結婚するならアイアンマンね」と如何にもマセガキが言いそうなセリフをサラっと言ってのけるライスちゃんがとても可愛かったです。

 

〈小まとめ〉

とりあえずTOP10はこんな感じです。といっても元来僕は映画に点数をつけたりするのが好きではないし、得意でないたちなので、○○枠といってごまかしたり、気分なんかで適当に決めている節がありますからあまりたいした意味はありません。あしからず。

TOP10に入らない個々の映画に対してもまだ言いたいことのひとつやふたつはありますが、一区切りついたのでこの辺で一度しめさせていただきます。

 

家族について

 シング・ストリートを見ました。元々見るつもりではあったんですが、やはり新作、準新作はレンタル料が高いので足踏みしていたところ、この間TSUTAYAで準新作100円セールをやっていたのでようやっと借りられました。作品の内容の如何とは別に、何故か深い感動に襲われたので多少なりとも吐き出せたらと思います。

 

 そもそも話は遡ること昨年。アイカツスターズの15話を見たときに猛烈な不快感に襲われたことが始まりでした。恥ずかしながら、それ以降モチベーションが保てずにアイカツスターズを見ていないので、厳密なことは言えないのですが、トップアイドルの姉とそれに対しコンプレックスを持っている妹との確執を描いた回で、最終的にはお互い泣きながら本当の思いを打ち明けあって無事和解する、という結末です。

 この話を見たとき、何がそんなに頭にくるのか自分でもよく分からず、思考を言語化できませんでした。ツイッターでも何となく気に入らないというようなことを呟いていたら、アイカツのオタクのフォロワーにブロックされてしまったくらいです。しかし、例えば家族を描いたアニメとして有頂天家族は好きですし、狸一家の親子、兄弟、親戚との確執描写は見ていて不快になることはありません。では何故アイカツスターズの15話は駄目なのか、今日まで答えを出せずに何となくモヤモヤして過ごしてきたところ、シング・ストリートを見てピンと来たのです。

 それは、シング・ストリート(或いは有頂天家族も)は「確執のある家族」を「確執があっても家族」と、ありのままで肯定してくれているのです。対して、アイカツスターズ15話は、「家族の確執」=解決すべきもの、つまり家族は仲良しが一番、とでも言っているかのように感じられます。もちろん、家族にしろ何にしろ、仲がよければそれがいいことなんでしょう。でも、現実はそうじゃない。これまで仲良くしてこれなかったし、これからも仲良くしていけないだろう家族は世の中にたくさんいる、何より、自分自身、身をもってそれを実感しています。そういう人間にとって、彼の15話は、どこまでもファンタジーでしかなく、無責任で、押し付けがましく、そして(仲がよければよかったなぁ)と思うからこそ、受け入れがたいものに映ってしまうのではないでしょうか。夜、月を眺めてセンチな気持ちになり、泣きながら抱き合いお互いの思いを告白し合って家族が和解できれば、そんな楽な話はありません。

 その点でシング・ストリートは、家族の問題に対して大団円を映しません。あの後(アイルランドで離婚が合法化されてから)、両親は離婚したのか、姉はどういう道を進んだのか、兄は社会復帰できたのか。しかし、それでいいのだと語りかけてくれているように感じました。ちょうど、主人公のコナーが深夜家を発つ前に、眠っている両親を一瞥した後、母親に「I love you.」と語りかけたように。わざわざ大声で喚きながら抱き合う必要なんかない。どんなに歪でも、不恰好でも、会話なんてなくたって、心の底に「I love you.」と言える気持ちさえあれば、直接言葉に出さなかろうが、面と向かって弟の門出を祝えなかろうが、それはやはり家族なのだと。

 「家族」という繋がりは、もはや修復不可能になってしまっても、全部壊してなかったことになんてできません。いつまでも付いて回る問題です。それ故、そんな家族の在り方しか知らない自分のような人間にとって、本当に信じたい、信じられるファンタジーはシング・ストリートなのです。

2017年上半期に見た新作映画まとめ

 メッセージ

 ナイスガイズ ラ・ラ・ランド T2 ハクソー・リッジ

 沈黙 ドクター・ストレンジ ドント・ブリーズ ムーンライト 哭声  

 ザ・コンサルタント 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う キングコング 

  アシュラ  はじまりへの旅  ライオン 夜は短し歩けよ乙女  スプリット

 無垢の祈り ハードコア ゴースト・イン・ザ・シェル ウォー・マシン 

  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 

 インビテーション

                                       

 いきなりランキングです。基準としては

S=オールタイムベスト級

A=その年のベストテン級

B=劇場で見て欲しい級

C=DVDレンタル開始やアマゾンプライムに追加されたら見て欲しい級

D=特におすすめはしないけど無料で見られるタイミングがあったら見れば級

E=見なくていいです

 

・メッセージ…SFとしての科学考証や”それっぽさ”はさることながら、そういった形而下学的な要素と、「流れ行く時の中を生きるということ」という抽象的で観念的なテーマ、つまり形而上学的な要素が、ヴィルヌーヴ監督の幻想的な映像美のおかげでうまく共存しています。サピア=ウォーフの仮説が正しいかどうかというのは置いておいて、過去と現在、未来の映像の織り交ぜ方やそこに散りばめられた複線、タイムパラドックス的展開も見事でエンターテインメントとしても楽しい一作。

 

・ナイスガイズ…以前もブログで書きました。探偵モノ、ロリが可愛い、ギャグが面白い。

 

ラ・ラ・ランド…ラストで別れる理由が分からない、という意見を聞いたことがある。けど、人生ってそんなもんでしょ、って話でいいと思います。何かを得るためには何かを失う、そういう寓話です。

 

・T2…トレイン・スポッティング2。正直あまり覚えていません。でも鑑賞後にとても爽快な気分で劇場を出たのは覚えています。

 

ハクソー・リッジ…戦争映画の戦闘シーンを更新したと言っても過言ではない作品。ところで、アンドリュー・ガーフィールドの喋り方が池沼っぽくて鑑賞中は気になって仕方がなかったんですが、やはりあれはそうすることでイノセントな人物であることを強調しているのでしょうか。

 

 B以下は気が向いた時に書きたいと思います。

  

    

  

 

 

   

 

     

    

 

 

女は馬鹿だから変な形のスマホケースを使いたがる

最近読んだエロ同人CGの話
 

  Twitterでエロ漫画のマジヲを気取っている僕ですが、正直なところ青年誌の本番シーンがあるような漫画や、DMMで販売されているような同人CGの方が興奮します。ほとんど見ないAVも、やはり素人モノの方が好きだしね。

 といった感じで、よくDMMでHなCGを購入するわけですが、最近妙に心に残った作品があったので、それについて書き散らかしたいと思います。  

 

  その作品というのはこれ。はいとく先生の「ネトラレ妄想シンドローム」です。f:id:metasiten:20170708002952j:image

  ご存知のオタクもいるかもしれませんが、はいとく先生はNTRモノや母子相姦モノを描いている同人作家です。他の同人CG作家の例に漏れず、絵柄が粗く下手なところもありますが、妙な色気というか、惹き付けるところがあります。

 

  そしてこの作品。見ての通り後編なので、まず全体のあらすじから。主人公は平凡なサラリーマンの男。可愛い奥さんがいるものの、寝取られ好きの気があり、いつも妄想しては自己嫌悪に陥っているという設定。前編は導入としての役割が強く、基本的に主人公の目線で、「日常生活の中で妻が寝取られるシチュエーション妄想」をいくつか描いていきます。話が転がっていくのはその後半、主人公夫婦の家に奥さんの大学の同級生が食事に招待されることでメインのストーリーが始まります。妻とその友達の距離感を訝しみつつも、男の寝取られ妄想は寝取られ願望の域に突入し、敢えて二人を置いて家を出るなど行動が常軌を逸し始める。そしてラストは酔い潰れた男が目覚めると寝室から二人の声が…というところで終わる。ここで重要なのは、前編は常に主人公の妄想にすぎないということです。シチュエーションも無理があったり、物理的に不可能だったり、ふきだしの形からもそれは明らかなものとして演出されています。

 次に後半。こちらは打って変わり妻の視点から始まり、その後も一貫して妻側の心情描写が続きます。基本的に話はベッドシーン。同級生に焦らされて身体は昂ぶりつつも何とか耐えている妻→夫が覗いているのに気がつき心の中では止めてくれることを願う→しかし遂に耐え切れずにセックス開始。ストーリーとしては単純で変化もありません。しかし僕が衝撃を受けたのはオチの部分。以下オチ。

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 結局昨夜の妻と同級生の浮気は主人公の夢、と思わせておいて最後は現実に起きていた可能性をにおわせるという終わり方。まあちょっとひねったどんでん返しなんてよくあるじゃないかと思われるかもしれません。しかし、僕はある映画のラストを連想せずにはいられませんでした。その映画というのはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『複製された男』。ネタバレ上等で書きますが、早い話が「性欲をコントロールできない浮気男が自分の負の側面を殺すことに成功したかに見えたものの結局だめでした」というストーリー。そのラストは、想像の中で性欲にまみれた己の象徴である「役者の自分」を殺して真面目に生きようと決心した矢先に、つい変態クラブへの招待状を見て「今夜は出かけるよ」と言ってしまうジェイク、そして夫が今夜も変態クラブに行くことを悟る妻(蜘蛛)を見て、ジェイクが「あーあ」といった表情で溜め息をつくというものです。

 

 では、『ネトラレ妄想シンドローム』と『複製された男』はどこが似ているのか。それは、どちらも「歪んだ性欲を持った男が、それを殺しきることができなかった話」なのです。結論から言えば『ネトラレ妄想シンドローム』のラスト、あれは「妻が浮気をしていた可能性」を臭わすのと同時に、「一線を越えた妄想の末に極限まで苦み、性癖との決別を誓った男が、結局は妻との会話の中にNTR妄想に結びつけられるワードを見つけ出し、再び妄想の世界に入っていく」ものと考えられます。もちろん浮気していた可能性を完全に否定することは出来ませんが、例えば本当にしていたとしたら、わざわざ「ピアスがベッドの下に落ちていた」というのも不自然でしょう。そもそも、妻が夫との性生活に不満を抱いている描写がなく(むしろ満足しているようにさえ見える)、また(やっぱり私が他の男とするのが見たいの?)というコマがあるものの、夫のNTR属性を察しているとは考えづらいので、やはり後編も夫の妄想、というか夢と見るのが妥当な気がします。思うに、前編では常に主人公の妄想であると明示しながら、後編では妻の視点で物語が進む、というのはミスリーディングを誘っているような気がします。第一、この物語のストリーテラーは夫なのに、妻の視点で物語が進むこと自体、これは彼の夢であるという風に見てもいいのではないでしょうか。

 

 しかし、なぜこの、一介のエロ同人CGが心に残ったのか。もちろん好きな映画の一つである『複製された男』と似ているという点にあるのですが、それはジェイク・ギレンホールというイケメン俳優が浮気男を演じているのに対し、こっちは冴えないNTR妄想癖のサラリーマンなので、いっそう自分に重ねあわせやすいのです。そもそも、こんなCGを買っている時点で僕はNTR好きのしょうもない男なわけですが、やはり彼女ができたら、結婚したら寝取られてしまうのではないかという恐怖が常にあります(どうせできないというのは置いておいて)。そして、この作品はNTRモノとして出来がいいことに加え、最後に(それまで散々楽しませておきながら)そのような自身の男性的魅力へのコンプレックス、そしてそれ故にNTRに引き付けられてしまう矛盾を突きつけられたような気がしました。『ファイト・クラブ』が好きだという時点でコンプレックス丸出しなわけですが。

 

 PS.NTR妄想をする男、というところではスタンリー・キューブリック監督の『アイズ・ワイド・シャット』も思わせます。こちらも「夢か現か分からなくなっていく」系のお話です。

 

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