おはようじょ

 今年に入って見た映画の感想。と言っても既に3月ですが。一応2月に入ってすぐ書き始めたんですよ・・・。(下書きでだいぶ寝かしてしまった)

 

・無垢の祈り

 気になるところがあって2ちゃんねるを見ていたら「原作と殺人鬼の描き方が違うという」とあって調べてみたら出てきた小説。

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

 

 実は高二の時に友人におすすめされた本です。ってことは読んでないんですね僕。まあ、それだけの話なんですが、いきなり過去に頭を殴られたようで妙にショックを受けてしまいました。高校生になってから仲良くなった友人と帰宅部同士そこそこつるむようになり、放課後マックで駄弁っているときにオススメされた思い出の一冊です。みなさんも是非読んでください。ちなみに淫夢やクッキー☆にドハマリしたのもその友人がキッカケです。映画の本編も鬱屈としていますが、思いもよらぬところで欝スイッチを踏んでしまいました。

 

 さて、感想ですが、一言で言えばとても計算された映画だと思います。陰鬱な工業地帯、酒浸りでギャンブル狂いでロリコンの義父と宗教にのめり込む母親、そんな逃げ場の無い少女の心象風景を上手く表現しています。劇中では夏なのに、常に画面が薄暗い。コンクリートと錆びた鉄、そんな工場の灰色が煙突から溶け出したように、空さえもどんよりとしている。町も活気がなく(というか人気が無い)、出てくる人間は基本クズ。自然と少女に引き付けられて「どうしようもないなぁ・・・」と感情移入してしまう。だからこそ、自転車で駆けるシーンの爽快感が際立ちます。

 (一つ気になったのは、導入部を除いて学校に行く描写がないことです。原作にはあるのか、演出の都合なのか、または学校に行ってないのか。三年越しに原作を読んで確かめたいです。)

 また、時間的な演出も巧みです。変態にイタズラされる導入部では眼帯を着けていることから事件後、つまり時間軸の上ではクライマックス後の出来事だと分かりますが、タイトルが出た後(時間軸上での序盤)に廃工場をうろつくシーンでは変態親父の耳らしきものが出てくる。そうやって円環構造にすることで少女の見ている閉じた世界(母親がしきりに輪廻云々と言っていたのが象徴的です)というものを上手く映像化していると思います。

 それにこの映画の見所は何といっても演技でしょうか。父親の嫌な感じ。見た目は普通の人なんですよね。それに、小児性愛者なのかは分からないけどチャラいねえちゃんと遊んだりして、只の気持ち悪いロリコンというイメージにも当てはまらない、「現実に居そうなクズ」感が絶妙です。そして子役の女の子。もちろん普通に可愛いんだと思いますが、虐待されてる子っ"ぽい"独特の汚い髪や鋭い目つき、子供特有の無邪気な一挙手一投足、第二次性徴に突入した少女の若干の色っぽさ、これらをうまく同居させています。

 自主制作映画なので、やはり"使いどころ"を絞らなければならないわけですが、本作では冷たい熱帯魚ばりの解体シーンに結構力が入っています。ネットを見ると(キコキコ作業している様子が)殺人鬼の神性を損なうと不評もありましたが、個人的にはリアルな感じが割りと気に入ってます。

 

 

無垢の祈りは2017年最初に見た映画で、その感想を三月半ばに書いてる時点で先が思いやられますが何とか劇場で見た映画だけでも感想を書いていこうと思います。