2020年に見た映画とか②~『ナイブズ・アウト』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

〇『ナイブズ・アウト』 去年に『トイ・ストーリー4』の感想で書いたことと大体おなじ。まあ『グラン・トリノ』ってことなんだけど、アメリカの魂がWASP的なアメリカの手を離れて新しいアメリカ人に受け継がれていく話が好き。それは必ずしも新しい移民がア…

2020年に見た映画とか①~『透明人間』『ミッドサマー』『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』

〇『透明人間』 前回のブログでは、どちらかというとポリティカルな?側面について触れたので、それだけでは、「そういう社会的なメッセージとか嫌いなんだよね~」と言いたがる種の人間に、本作を勘違いされてしまう可能性もある。この映画は、純映画的な仕…

ロシャオヘイセンキは赤いのか?(『羅小黒戦記〜ぼくが選ぶ未来〜』雑観)

しかし、これが現代の中国で作られることに、幾らかの悩ましさを感じざるを得ない。 それは、ストーリーに対する感触だ。 もっとも、この映画の見どころは、なんと言っても作画のほうにある。本来日本アニメが得意としたような空間表現、その空間を利用した…

『エノーラ・ホームズの事件簿』、あるいは無関心のヴェールについて

「〇〇は社会の役に立たない」という言説はクソの役にも立たない。 文系、というか、主に人文科学を専攻している人間が自虐として、「〇〇学は社会の役に立たないからな~」なんて言う姿を見ることがままある。しかし、ここでいう「社会」とは、「役に立つ」…

雑多な感想

〇日本沈没2020 普段からそこまで考えているわけではないけれど、あるいは、なりに?、優等生的に今風のリベラルなメッセージなんかを込めてうまくまとめたんだなって印象。それ以上の何かが伝わってくることはない。国家なり民族なりを、真剣に思考したと思…

2020年初逆張り、あるいは『ミッドサマー』感想

「自身の限界」と「世界の実在」を知るということ。アリ・アスター監督の前作『へレディタリー』に続き、今作『ミッドサマー』においても共通するモチーフだ。セラピー映画と言われる理由もそこにある。監督のプライベートな経験をもとにしたストーリーは、…

2019年の映画総括

下のランク付けはなんとなくの雑感。気分によっても変わります。とにかく色々と忙しくて、今年はあまり映画を見られませんでした。まあ忙しかったタスクも消化できていないんですが。

Rise of Skywalkerって言われると、え?今までRiseしてなかったの?レイアとか頑張ってたじゃん?って気持ちになるよね

『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』ネタバレ雑感。 ・最初のピョンピョンとハイパードライブ繰り返すシーンは良かった ・パルパティーンが死んだのか死んでないのかよく分からない(本人曰く「私は既に死んでいる」けど肉体あるし)。クローンだって言…

資本主義の形を変えることより、世界の形を変えることを想像する方がたやすい

「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方がたやすい」─とは、フレドリック・ジェイムソンとスラヴォイ・ジジェクの言葉である。マーク・フィッシャーは、著書『資本主義リアリズム』の第1章のタイトルに、このスローガンを引用した。 その第1章…

2019年上半期に見た映画の話

2019年上半期に見た新作映画の総括。 S 海獣の子供 ブラック・クランズマン、アベンジャーズ/エンドゲーム 魂のゆくえ A スパイダーバース、バイス、アメリカン・アニマルズ、ファーストマン A- バスターのバラード、グラス・イズ・グリーナー、プロメ…

『グリーンブック』は如何に白人のためのガイドブックとなったか

『グリーンブック』を観た。単純な娯楽映画、ヒューマンドラマとして見るならば、笑えて泣けて、良くできた作品といって差し支えないと思う。 しかし、一方ではスパイク・リーをはじめとして、アカデミー作品賞となった本作の価値に異を唱える人も少なくない…

2018年各新作映画についての雑感①

2018年に見た新作映画への適当ひとこと感想。 『デトロイト』 白人が郊外に脱出したデトロイトのダウンタウンで巻き起こる最悪の事態。ねっとりとしたドキュメンタリックなカメラワークもいいが、やはり演技。ジョン・ボイエガはどうしてもSWのフィン…

2018年映画ベスト10

前の記事でまとめましたが、今年に見た新作映画は59本っぽいです。 去年まとめたときは、一応「Sがオールタイムベスト級」で「Aはその年のベストテン級」で、というようなことを書いていましたが、正直見終わったときのテンションでなんとな~くポチっとして…

アカデミー作品賞受賞(仮)作品『スリー・ビルボード』について

タイトルにスリー・ビルボードと銘打ってるけど、2018年に入って2ヶ月経ったので、普通にこれまでに見た映画の感想の総括。年末にランキングをつくろうにも、まとまった記録をつけていないと記憶がアヤフヤすぎてどうにもならなかったので、今年はある…